[16] 知的財産権

「知的財産権(略して知財権)」とは、一般に特許発明・商標・意匠・著作物・ノウハウ等の知的財産にかかる権利のことをいいます。通常、知財権を扱う契約書にはその定義が規定されていますので、実際はそれぞれの契約でその範囲が異なります。

「知財権を扱う契約書」には実に様々なものがあり、(知財権にかかる)譲渡契約書・ライセンス契約書や、また業務委託契約書にも、委託業務を履行する中で作られた成果物の知財権の帰属や利用について規定されたものがあります。

業務委託契約では、受託者が制作した成果物の媒体の「所有権」は委託者に移転するものの、その成果物に含まれる「知財権」は委託者に移転しないケースがあります。たとえば委託業務がソフトウェア開発の場合、プログラムコードを格納するSDカードやUSBメモリなどのストレージの所有権は委託者に渡し、プログラムコードの著作権自体は受託者に留保するというケースです。その場合、受託者は他の委託者から同様の業務委託を受けるとそのプログラムコードをそのまま流用できるという利点があります。

ただし、著作権が受託者に残る場合は委託者は勝手にプログラムを利用することができませんので、契約書には利用条件が規定されます。

上記は極端な例ですが、よく見られるのが

  1. 委託業務の履行において新たに生成された知財権は委託者に帰属
  2. 委託業務の履行前から受託者が有する知財権、及び委託業務とは関係なく受託者が生成した知財権はそのまま受託者に残る
  3. 委託者は上記1と組み合わせて上記2を利用できる

という条件です。この条件であれば、委託者は対価に見合った権利を得られることになります。

上に挙げたプログラムコードの例では「所有権」と「著作権」の関係が分かり難いかも知れませんが、例えば私たちが書店で本を購入した場合、本自体の「所有権」は購入者に移転しますが、その本の内容(著作物)にかかる「著作権」は購入者には移転せず著者又は出版社に残るため、購入者はその本を複製して販売することができません。もっとも所有権は購入者にありますので、原則としてそのままの形で他者に転売することは可能です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です