ライセンス契約において「ボリュームディスカウント」とは、ライセンス対象物をたくさん利用すればするほど、ランニングロイヤルティの単価を安くするというものです。
例えばソフトウェアを対象としたライセンス契約において、ライセンシーがそのソフトウェアを搭載した製品を販売した場合、1台あたり100円のロイヤルティをライセンサーに支払うという条件が定められていたとします。その場合、その製品が100台売れればロイヤルティは1万円ですし、1万台売れれば100万円です。
しかしながら、ライセンシーが何台対象製品を販売しようとライセンサーとしては余分な手間はかからないですし、販売台数に関係なくロイヤルティ単価が同じであればライセンシーとしても販売拡大のモチベーションは上がりません。
そのためライセンス契約や売買契約には、ボリュームディスカウントが設定されることがあります。
一例として、ライセンス契約におけるロイヤルティ単価を具体的な数字で説明しますと、
1台め~100台め: 1台あたり100円
101台め~200台め: 1台あたり90円
201台め~300台め: 1台あたり80円
この様な条件の場合、対象製品を250台販売した場合は、ロイヤルティは次のように計算されます。
100台x100円 + 100台x90円 + 50台 x 80円 = 23,000円
ここで、1台めから200台めまでのロイヤルティ単価が全て80円にはならないことに注意してください。
一方、ロイヤルティが次のような条件の場合は、
~100台: 1台あたり100円
~200台: 1台あたり90円
~300台: 1台あたり80円
110台販売した場合は、110台x90円 = 9,900円となり、100台販売したときの 100台 x 100円=10,000円よりも安くなってしまいますね。
この様な逆転現象が起きないように、またロイヤルティを計算する際に誤解が生じないように、契約書には条件をきちんと明確に定めておくことが重要です。