bookmark_border[34] 完全合意条項

「完全合意条項」とは、その契約書に規定されている内容が全てであり、この契約と同じ目的で契約締結前に当事者間で合意された事項は無効となる、という条項です。

そのため、契約の解釈において曖昧さや疑義が無くなる反面、契約条件を事細かに多岐に渡って規定する必要があるため、国内の契約ではあまり一般的ではありません。

他方、国際契約ではこれは「Entire Agreement」条項といい、ほぼ標準条件として規定されています。

日本の場合は、取引において商習慣や紳士協定など今でも重視されますし、契約書に規定されていない事項は民法に従って判断されますので、あまり必要のない条項なのかも知れません。逆にその条項が入ることで、契約の履行に支障が生じる場合が多いと思います。

ただ、M&Aなど重要な契約書は疑義が生じることのないように詳細に条件を定めるため、完全合意条項が規定されるケースが多いですね。

 

 

bookmark_border[30] 国際契約における「印紙税」

以前ご紹介した収入印紙(印紙税)について、国際契約との関係を補足したいと思います。

国際契約の印紙税の扱いですが、「締結地」の法令に従うことになります。たとえば「締結地」が日本であれば、印紙税法に基づきその契約書が課税文書かどうか判断し、その結果、課税文書であれば収入印紙の貼付・消印をもって納税します。これは契約当事者全ての契約書原本も同様です。

他方、締結地が日本以外であれば、少なくとも日本の印紙税法は適用されません。しかし締結地の法令が適用されますので、そこは留意が必要です。

なお、契約は当事者全てが記名押印又は署名することで締結となりますので、最後に記名押印又は署名した場所(国)が締結地です。そのため、日本側当事者が先に記名押印又は署名し、外国にいる相手方に渡してその地で締結すれば、日本における課税文書でないことになります。

ところで国税庁の下記サイトには、「契約書上に作成場所を記載するとか、契約書上作成場所が記載されていなければその事実を付記しておく等の措置が必要になります。」との記載がありますが、ここで「作成場所」とは、契約書の場合は「締結地」と同義です。

外国で作成される契約書|国税庁 (nta.go.jp)