bookmark_border[30] 国際契約における「印紙税」

以前ご紹介した収入印紙(印紙税)について、国際契約との関係を補足したいと思います。

国際契約の印紙税の扱いですが、「締結地」の法令に従うことになります。たとえば「締結地」が日本であれば、印紙税法に基づきその契約書が課税文書かどうか判断し、その結果、課税文書であれば収入印紙の貼付・消印をもって納税します。これは契約当事者全ての契約書原本も同様です。

他方、締結地が日本以外であれば、少なくとも日本の印紙税法は適用されません。しかし締結地の法令が適用されますので、そこは留意が必要です。

なお、契約は当事者全てが記名押印又は署名することで締結となりますので、最後に記名押印又は署名した場所(国)が締結地です。そのため、日本側当事者が先に記名押印又は署名し、外国にいる相手方に渡してその地で締結すれば、日本における課税文書でないことになります。

ところで国税庁の下記サイトには、「契約書上に作成場所を記載するとか、契約書上作成場所が記載されていなければその事実を付記しておく等の措置が必要になります。」との記載がありますが、ここで「作成場所」とは、契約書の場合は「締結地」と同義です。

外国で作成される契約書|国税庁 (nta.go.jp)

 

bookmark_border[18] 収入印紙

契約書の種類によっては、収入印紙が必要なものがあります。以前少し触れましたが、「請負契約」には印紙が必要ですし、「準委任契約」には印紙は不要です。

国税庁が公表している印紙税額表はこちらです。(令和5年4月現在)

この様に印紙が必要な文書、すなわち「課税文書」は20種類あり、それぞれ「1号文書」「2号文書」・・・「20号文書」と呼ばれています。なお、これら以外の文書は印紙が不要な「不課税文書」です。

例えば、請負契約は2号文書、継続的取引の基本契約は7号文書です。

収入印紙は文書に貼付するだけではだめで「消印」という作業が必要です。これは印紙と文書にかかるように割印をすることで、印紙税を納税したという証になります。税務署は、たまに実地で印紙税調査を行い、印紙税をきちんと納税しているか(課税文書に収入印紙を貼付して割印したか)を確認します。ここで漏れがあった場合は、それが悪質と判断されると3倍の過怠税が課されます。

ところで印紙税額表の一番右に「主な非課税文書」という欄があります。これは「課税文書」ではあるけど印紙税額が「0円」という文書です。

このように「非課税文書」と「不課税文書」は、ややこしいですが意味が異なります。

ちなみに印紙税は紙の文書を作成したことに対する課税ですので、契約を電子署名を使って電磁的に締結した場合は、そもそも印紙税はかかりません。