bookmark_border[45] 国際契約における特殊条件(権利の不放棄)

英米法には、契約上さまざまな権利(解除権や損害賠償請求権など)を有するにもかかわらず、それを行使せずに契約相手方の契約違反状態を放置したり黙認したりしていると、その権利を放棄したものとみなすという考え方があります。

「権利の不放棄(Waiver)」は相手方の契約違反や不履行にクレームしなかったからといって、契約解除権や損害賠償請求権などの契約上の権利を放棄したわけではない、ということを明確にするための規定です。

以下は、国際契約における本規定の文例です。

Article 〇(Waiver)

The failure of any part to enforce at any time any of the provisions hereof or any rights in respect hereto shall in no way be considered to be a waiver  of such provisions or rights by such party and any of its rights hereunder shall not preclude or prejudice such party from excerising the same or any other rights it may have hereunder irrespective of any previous action taken by such party hereunder.

(訳)

第x条(権利放棄)

いずれかの当事者が、いつでも本契約の条項又は本契約に関する権利を執行しなかったりしても、かかる当事者及びその他の当事者による当該条項又は権利の放棄とは決してみなされないものとする。本契約に基づく権利は、当該当事者が本契約に基づいて講じた以前の行動に関係なく、当該当事者が本契約に基づいて有する可能性のある同じ権利又はその他の権利を行使することを妨げたり、損なったりするものではない。