[5] 任意規定

前回からの話の続きです。

お客様がお店から商品を受け取ったあと、その商品に不具合が見つかった場合は、お店は交換や返品・返金などの責任を負います。

でもコンビニやスーパーで商品を購入する際、いちいちお客様とお店との間で、商品に不具合があったときの対応の仕方は決めませんよね。そこで、契約で約束していないことは、日本における契約法である「民法」の規定に従うことになります。

一般的に、当事者間で定めた契約条件の方が、民法の規定よりも優先して適用されます。この様に、法令よりも契約が優先する場合の規定は「任意規定」と言います。これに対し、法令の方が優先する場合、その法令の規定を「強行規定」と言います。たとえば刑法が代表的なもので、当事者間の契約で刑法に違反する条件を定めたとして、それは無効となります。

ちなみに民法においても「強行規定」は存在します。たとえば民法第90条の「公序良俗違反」はその代表例です。これに反する契約を締結しても無効です。闇バイトに関する契約(強盗にかかる業務委託契約でしょうか)も、公序良俗に反するということで契約自体が無効になるものと思われます。

ところで、民法は「総則」「物権・担保物件」「債権」「親族」「相続」の5つのパートから構成されています。このうち契約に関係するのは、「債権」のパートです。特にこれを「債権法」とも呼びます。

なお民法は、一般人(法律用語では「自然人」といいます。)間の契約だけでなく、法人間、法人・自然人間の契約にも適用されます。商人(法人や個人事業主などです。)同士の契約においては、民法よりも商法が優先されて適用されますが、商法の適用項目はとても少なく、また商人同士の契約では、通常、契約書に詳細条件が規定されますので、一般論として商取引においては商法の規定が適用されるケースはあまりないものと思われます。

次回は、冒頭の「お客様がお店から商品を受け取ったあと、その商品に不具合が見つかった場合」の措置について、民法でどのように規定されているのかを解説する予定です。

 

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