「清算」と「精算」はよく混同して使われる言葉です。
「清算」は、「会社清算」や「関係の清算」などのように、何かを綺麗さっぱり解消させ整理することをいいます。
また「精算」は、金額を細かく計算すること、又は計算し直すことをいいます。
この様に、これらは意味が異なりますので、契約書作成の際には間違えないようにしなければなりません。
「清算」と「精算」はよく混同して使われる言葉です。
「清算」は、「会社清算」や「関係の清算」などのように、何かを綺麗さっぱり解消させ整理することをいいます。
また「精算」は、金額を細かく計算すること、又は計算し直すことをいいます。
この様に、これらは意味が異なりますので、契約書作成の際には間違えないようにしなければなりません。
「リキダメ」とは、国際契約に出てくるLiquidated Damagesを日本語風に略した言葉で、損害賠償の予定のことです。
納入遅延等、きちんと契約を履行できなかった場合の損害賠償額や、中途解約等による違約金の額を予め契約書に定めておくことがありますが、主にこれらをリキダメと呼んでいます。
国際契約においては、契約当事者間で制裁金(ペナルティ)を課すことが禁じられていることが多く、上記金額が通常の損害賠償額に比べて法外に高い場合はペナルティとみなされ、リキダメ条項が無効になることがあります。ちなみに、契約書に「これはペナルティではなく損害賠償額の予定とする。」と規定しても意味がありません。
国内の契約ではペナルティに関しては特に禁止されていませんが、国際契約ではこの部分は留意する必要があります。
「遅延損害金」とは、契約書に定めた支払期限までに支払いがなされない場合に損害賠償として相手方に支払う金銭のことで、通常は年利の形で定められます。一般に金銭を受領する側がひな型として準備する契約書には、年率14.6%と規定されていることが多い印象です。
契約交渉の中でその率を変えることはありますが、そもそも契約条件どおりにきちんと支払をするのであれば遅延損害金は発生しませんので、この部分が大きな論点になることは無いと思います。ただこれは相手方との関係によりますね。注意すべきなのは取引の相手方が下請法(下請代金支払遅延等防止法)適用会社の場合です。「下請代金支払遅延等防止法第4条の2の規定による遅延利息の率を定める規則」に、「下請代金の支払遅延に対する遅延利息の率は年14.6%」と規定されています。
なお、(下請法適用会社以外で)契約に遅延損害金が規定されていない場合は、民法で規定されている「法定利率」に従いますので、支払が遅れた場合、契約書に規定されていないからと言って、遅延損害金の支払いを免れることはできず請求可能です。
ちなみに契約に規定された料率、すなわち「約定利率」が「法定利率」よりも大きい場合は、約定利率を使います。
法定利率の規定は以下のとおりです。
民法 第404条
この様に、基準は年3%なのですが変動を許容する規定となっており、法務省は「令和5年4月1日以降の法定利率について」というサイトで令和8年3月末までは「3%」と公表しています。
蛇足ながら、14.6%というのは、昔の「日歩4銭(100円につき一日あたり0.04円)」から来ているそうです。(0.04円/日 X 365日 = 14.6円)その流れかどうか分かりませんが、税法上の延滞税も一定の減免はあるものの基本は14.6%です。
それから、利率の上限は「利息制限法」や「消費者契約法」に定められています。利息制限法は「金銭消費貸借契約」すなわち金銭を貸し借りするときの利率について第1条で規定しており、元本の金額により異なりますが100万円以上の場合は年15%です。なお、金銭の返済が遅れた場合の遅滞金を算出する際の利率は第4条で規定しており、金銭消費貸借契約における約定利率としてはこれ以下に抑える必要があります。ちなみに金銭を貸すことを業として行ういわゆる「営業的金銭消費貸借」の場合は、利息制限法において別の規定がありますので注意が必要です。
利息制限法 第1条
金銭を目的とする消費貸借における利息の契約は、その利息が次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
また消費者契約法は、契約相手方が一般消費者の場合に適用され、その中で遅延損害金の上限を年率14.6%と定めています。
この様に、契約相手方が法人、団体、個人事業主、一般消費者のいずれの場合であっても、金額の多寡によらず「年14.6%」に抑えておけば法令に違反することはありませんので、金銭を受領する側としてはこの料率を契約交渉の起点とする意義は大きいと思います。
「完全合意条項」とは、その契約書に規定されている内容が全てであり、この契約と同じ目的で契約締結前に当事者間で合意された事項は無効となる、という条項です。
そのため、契約の解釈において曖昧さや疑義が無くなる反面、契約条件を事細かに多岐に渡って規定する必要があるため、国内の契約ではあまり一般的ではありません。
他方、国際契約ではこれは「Entire Agreement」条項といい、ほぼ標準条件として規定されています。
日本の場合は、取引において商習慣や紳士協定など今でも重視されますし、契約書に規定されていない事項は民法に従って判断されますので、あまり必要のない条項なのかも知れません。逆にその条項が入ることで、契約の履行に支障が生じる場合が多いと思います。
ただ、M&Aなど重要な契約書は疑義が生じることのないように詳細に条件を定めるため、完全合意条項が規定されるケースが多いですね。
契約を書面で締結する際に使用する用紙ですが、通常はA4サイズの上質紙になると思います。
基本は片面印刷ですが、2ページに収まるものは両面印刷とし、またA3サイズ1枚に収まるものはそのようにして、なるべく複数の枚数に渡らないようにするのがコストが抑えられますし製本も不要で効率的です。
ただし、文字サイズを小さくし過ぎないようにすることも重要です。
紙質については、契約書は年単位で、場合によっては何十年もの期間に渡って使われますので、その間に紙面がボロボロになり原本としての役目を果たさなくなっては困りますので白の上質紙がお勧めですが、最近は再生紙であっても質が良くなっていますので、そこはあまり気にすることは無いかも知れません。
「承継」とは、自身の権利義務や資産などを他者に移転することをいいます。代表的なものに「相続」があります。
相続は、人(自然人)が死亡した時点で保有していたものが相続人に帰属します。この場合、法的には全てが相続人に移転するため「包括承継」又は「一般承継」と呼ばれます。
法人の場合も、「合併」により他の会社に吸収された時点で全てがそちらに移り包括承継(一般承継)がなされます。
他方、売買や事業譲渡など、保有する権利義務や資産の一部のみを他者に移転する場合の承継は「特定承継」と呼ばれます。当事者間で何を承継するかは協議のうえ決定しますので、売買契約書や譲渡契約書において承継対象物を明記し特定することになります。
契約書では良く、前の条項を否定する条件を次の条項に書くことがあります。
このように「かかわらず」という文言を使い、特定の条件のもとに前項を否定します。「かかわらず」は漢字で書くと「拘わらず」ですが、契約書ではかな書きします。
次に、否定する条項が直前に2つある場合は以下のようにします。
「前二項」は、前の二つの条項を指します。これは「第1項及び前項」や「第1項及び第2項」と同義です。
「前2項」と書いても良いのですが、「第2項」と誤解され易いため、私は漢数字の「前二項」を使っています。
以前ご紹介した収入印紙(印紙税)について、国際契約との関係を補足したいと思います。
国際契約の印紙税の扱いですが、「締結地」の法令に従うことになります。たとえば「締結地」が日本であれば、印紙税法に基づきその契約書が課税文書かどうか判断し、その結果、課税文書であれば収入印紙の貼付・消印をもって納税します。これは契約当事者全ての契約書原本も同様です。
他方、締結地が日本以外であれば、少なくとも日本の印紙税法は適用されません。しかし締結地の法令が適用されますので、そこは留意が必要です。
なお、契約は当事者全てが記名押印又は署名することで締結となりますので、最後に記名押印又は署名した場所(国)が締結地です。そのため、日本側当事者が先に記名押印又は署名し、外国にいる相手方に渡してその地で締結すれば、日本における課税文書でないことになります。
ところで国税庁の下記サイトには、「契約書上に作成場所を記載するとか、契約書上作成場所が記載されていなければその事実を付記しておく等の措置が必要になります。」との記載がありますが、ここで「作成場所」とは、契約書の場合は「締結地」と同義です。
締結済みの契約書が溜まってくると、原本や電子ファイルをどのように保管・管理すれば良いか悩みます。
特に大きな組織を持つ歴史のある企業や団体の場合は、組織変更やフロア変更、管理システムの改定もあるでしょうから、中々統一的なルールに基づいて台帳管理したり、原本や電子ファイルを保管したりするのは難しそうです。電子ファイルは共用ストレージで保管できても、原本となると当時の契約担当者の机の引き出しに入れっぱなしになっていたり、紛失してしまったりと、色々と苦労されていると思います。
なお、契約書の保管期間は、雇用関係、会計・税務関係、会社法関係でそれぞれの法令によって個別に定められており、最長のもので契約終了後10年です。そのため、各企業・団体では通常、それに準じた規程を設けていると思われます。また、相手方との間で契約不履行等により裁判沙汰になった場合、その契約が書面で締結されているとすると、証拠として認められるのは原本です。それをPDFに落としたものやコピーしたものは、それが偽造されたものでないことを証明できない限り、原則として証拠にはなりません。
そのため、今後は書面締結ではなく、なるべく電磁的方法(電子署名)を使って契約を締結するのが良いと思う次第です。