bookmark_border[44] 「until」と「by」

これは契約英語ということではなく通常の英単語の使い方なのですが、untilは「~まで」、byは「~までに」と、それぞれ期間と期限を表します。

  • I will continue the work until 5pm.  私はその仕事を午後5時まで続けます。
  • I will finish this work by 5pm.    私はこの仕事を午後5時までに終了します。

byは「before」や「prior to」に置き換えることができますが、「by + 時」と「before + 時」では、前者はその「時」を含むのに対して、後者はその「時」を含まないという違いがあります。prior to も beforeと同じです。

そのためby 5pmであれば「午後5時まで」になりますが、before 5pmであれば「午後5時前」となり、ミクロな世界ですが理論的には差があります。ただ実務上困ることも無いでしょうし、同じと考えても良いのではないでしょうか。

これに対して「by December 22, 2023」と「before December 22, 2023」では一日の差が出ます。そのためその日を含むときにbeforeを使う場合は「on or before December 22, 2023」とし、「on」を補うようにします。

 

bookmark_border[43] 危険な「notwithstanding」

和文契約で、その前に規定されている条件と異なる条件を定める場合には、「ただし、~の場合は~とする。」というように「ただし」という言葉を使います。

英文契約では「ただし」に相当する言葉として「provided, however, that」という表現を使う場合があります。

  • ABC shall make a payment; provided, however, that… (ABCは支払う。ただし、…するものとする。)

ちなみに、howeverが付かない場合は、

  • ABC shall make a payment, provided that… ( ABCは…を条件として支払う。)

となり、少しニュアンスが違ってきます。

これと同じような言葉に「notwithstanding」というのがあります。

  • Notwithstanding the foregoing,  (上記にかかわらず、)
  • Notwithstanding Section 2,  (第2項にかかわらず、)

このようにNotwithstandingの後を色々変えることによって、否定すべき条項や条件の範囲を変えることができます。

たとえば

  • Notwithstanding anything in this Agreement to the contrary,  (本契約にこれと異なる規定があったとしても、)

は、本契約にこれと関連する他の条件が規定されている場合に、それらを否定してこの部分のみを有効にするもので、これを落とし穴として悪用されるケースもあります。

そのため「notwithstanding」という言葉が出てきたら、どの範囲を否定しているのかを注意深く見る必要があります。

bookmark_border[42] 英文契約における「コロン」と「セミコロン」

たとえば売買契約で、The Seller may terminate this Agreement if: (売主は、以下の場合、契約を解除できる。)という文章では、その後に条件が続きますので、コロン(:)で切ります。

その後の条件が複数ありそれらを箇条書きにするときはセミコロン(;)でつなぎ、最後はピリオド(.)で終わります。

The Seller may  terminate this Agreement if:

  1. the Buyer commits any material breach of the term hereof; or
  2. the Buyer files a petition in bankruptcy.

ここは各条件の間を「or」でつなぐことが重要です。もし「and」でつないだ場合は、全ての条件が調わないと解除できないことになります。

 

 

bookmark_border[41] 英文契約における「here」と「there」

英文契約書において、「hereto」「herein」「hereunder」「hereby」などの言葉が良く使われますが、この「here」は「This Agreement (本契約)」を指します。

そしてheretoは「to This Agreement」、hereinは「in This Agreement」、hereunderは「under This Agreement」、herebyは「by This Agreement」を意味します。

例えば、parties heretoというのは、parties to This Ageement、すなわち本契約の当事者をいいますが、その契約書の前文などで契約当事者を「Parties」と定義しているのであれば、本文中ではParties heretoとする必要はなく、Partiesだけで十分です。

他方「thereto」「thereunder」などが使われる場合があり、この「there」はその直前で引用している他の契約書、仕様書、条項等を指します。

 

bookmark_border[40] 英文契約における「if」「when」「in case」

これらはそれぞれ同じような従属接続詞ですが、以下のように使う場面が異なります。

  • if:将来発生するかどうか不明な事象が発生したときの条件を規定する場合
  • when:将来必ず発生する事象が発生したときの条件を規定する場合
  • in case:ifと同じような意味で「発生したら(備えていた)〇〇〇をする」という場合

日本語の契約書ではあまり意識せずに「~の場合」や「~のとき」などと表記しますが、英語では区別する必要があります。

bookmark_border[39] 英文契約で権利・義務を表す助動詞

英文契約で権利(~することができる)を表す助動詞は「may」です。「can」は権利ではなく能力を表しますので、契約書ではほぼ使われません。mayの否定語(~することはできない=権利が無い)は、「may not」となります。

他方、義務(~しなければならない)では「shall」が使われることが多いですが「will」でも良いです。ただし同じ契約書の中で「shall」と「will」が混在して使われるときは「shall」が義務、「will」はニュアンスが弱く通常のwill(意思)のようになりますので注意が必要です。